『"文学少女"と恋する挿話集 1 (ファミ通文庫)』(野村美月)を読みました。本書よりはこれまでのシリーズ本編のほうが僕の心をぐっと掴んではなさないようです。この短編集は本歌取りではないし、肝心の物語を読み解く場面がないうえ、本編との絡みがあまりないので、シリーズものであることのメリットをあまり享受していないような気がしました。それに心葉くんのことを「受け」だなんていう遠子先輩はちょっと。
それでも、読むとむずむずさせられ、中学生や高校生の恥ずかしい頃をしきりに思い出させられました。僕も中学生の頃はバレンタインデーにワキワキしたりしたものです(結局中学生のときにもらったことはありませんでしたし、高校は男子校だったので無縁でした)。恋らしきものもしたような気がするし、恥の多い10代をおくってきました。
お酒の席などが延々と続くと、いつしか話題に隙間がうまれたりします。そうしたときにうってつけなのが恥ずかしい話。もちろん自分の恥ずかしい話などこれといって披露したいわけでもないのですが、話しているうちに「僕はもっと恥ずかしいことをしていたに違いない」などと自分の恥部を探し、曝してしまったりするのです。マゾっ気というのとは少し違うでしょうけれども、皆が自分の恥ずかしい話をさらけ出すという快感。本書はこういうのに似ています。
その他の近頃読み終えた本。
『ハイエク 知識社会の自由主義 (PHP新書)』(池田信夫)
『哲学の最前線―ハーバードより愛をこめて (講談社現代新書)』冨田恭彦
『資本主義はなぜ自壊したのか 「日本」再生への提言』中谷巌
『ハイエク』と『資本主義はなぜ自壊したのか』は真っ向から衝突するような内容。よくいわれる「新自由主義」の定義が経済学ではっきりしていないからか、後者は新自由主義を批判するし、前者はハイエクを紹介しながらその経済学的な重要性を解説しています。いずれにせよ、人間が理性的な存在であるということに疑問符をつけているのは両者とも同じで、あとは自由をどう見積もるかというだけのような気がします。
二者の視点がもっとも対立しているのは、日本社会で経済格差は広がっているのかそうではないのか、もし広がっているならそれに対してとることのできるアクションは何かというところ。よく目にする話題だけれど、格差って本当のところはどうなっているのでしょうね。僕にはどうもよくわかりません。
2009-04-20
中・高生の恥ずかしい頃
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