CNET Japanに韓国IT業界ビッグ3と、ソフトウェア市場の現状という興味深い記事が載っていた。一読してすぐに思ったことは「どこも同じか」ということだ。残念ながら日本のIT業界と良く似ていて、ソフトウェア強国ということを叫んでも業界はなかなかに動かない。
特に、
ビッグ3をはじめとした大手SI企業は契約上では契約主であはあるものの、実際の作業は下請け企業に任せきり、その下請け企業には“食いつなぐことができる”程度の対価しか支払わず、利益のほとんどを持っていくという状況だ。それでもSI市場しかない韓国において下請け企業は生き残りのために仕事を受けざるを得ない。劣悪な環境で働く下請けの技術者が、安い賃金で体に無理をかけてまでソフトウェア開発に従事できるかといえばそうではなく、業界を離れる人が後を絶たないというあたりなど、大雑把に見れば実に良く似ている(とはいうものの、IT業界といってもほとんどWeb系SIの世界しか知らない僕自身の経験から判断することしかできないが、かつて一次請けとして、その後発注者として、そして現在中小企業に関わる身として「似ている」という判断はそれなりに正しいと思う)。また全く知らない業界だが、聞き及ぶところからアニメ業界やゲーム業界、携帯電話業界など、おそらく似たような仕組みだろうと想像する。
こうした業界の仕組みからどうしたら中小企業が抜け出せるかを考えるのが、現在の僕の仕事のひとつだが、大雑把に考えているところをいうと、ひとつにはユーザ企業のリエンジニアリングを提案すること、ひとつにはロングテール狙いで営業すること、ひとつにはマーケットをセグメント化して営業すること、ひとつには品質の向上を図ることなどなどだが、どれもこれも言うは易し、行うは難しだ。
しかし法で規制するのはすこし行き過ぎではないかと思う(よその国のことだし口をはさむことではないのは承知しているが)。規制された業界では所詮規制内でしか活躍できない程度の企業しか育たず、結果として業界が国際競争力を失うのではないか、と思う。この感想は、僕がかつて県単位で強烈に規制されていた業界で、規制緩和の煽りをくらって青息吐息になっている(なっていた)企業に在籍していた経験からいっている。
つまるところ、競争をする地域や業界規模はともあれ、競争に勝てる企業には何かがあるというだけのことで、その何かを実現しないことには競争力はつかない、という当たり前な話だ。
検索してこのページにたどりつく人がいるので、念のために追記しておくと、「さびしさに 宿をたち出でて ながむれば いづくも同じ 秋の夕暮れ」は良暹法師の歌で、後拾遺和歌集に入っています。また小倉百人一首では70番になっています。
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