よく言われていることだが、うつ病が発症したなら即休職すべきだと思う。うつ病の状態で働いたとしても、周りに迷惑が広まるだけだし、本人にとっても状況は悪化する一方だ。本人としては勤務環境が悪化するのは自分の責任だと考えがちだが、病気が原因と考えるほどの客観性を持っていないので、坂道転がる雪だるまよろしく、悪いほうへと偏ってしまう。
うつ病からの社会復帰に向けて--心の病と戦う技術者たち(3)という記事によると、
うつ病になると極端に悲観的になったり、理想化した観念を抱いたり、自分を過小評価したりと、客観的な視点が失われることもあるとのことだがまったく同感だ。
「コップの水が残り半分しかない」「まだ半分ある」という使い古されたたとえ話がある。他にも僻地の調査に赴いた靴のセールスマンが、ひとりは「靴のニーズがないので販売見込みなし」、ひとりは「誰も靴を履いていないので販売見込みあり」と報告する陳腐な話がある。こんなありきたりの話と同じことにしてしまうのも僕の自尊心が許さないが、実は同じことだ。見えている現実をどのように解釈するかはその人しだいであり、その人が病的な状況にいれば病的な現実が見えてしまう(僕は常に病的な現実を見ているかもしれない)。逆に冷静になってみれば、かなり悲惨な現実でもどうにか乗り切ってしまえるのも人間の常だ。
ただし、職場への復帰は難しいとしかいえない。うつ病は再発しやすいらしいし、うつ病の既往歴がある人を雇いたがる会社も正直なところ多くはないだろう。
早く病気に気づけばそれに越したことはないが、気づいたところで身動きの取れない悲しい現実がある。企業の人材を無駄に消費する就業環境と、職場を離れた人材をうまく掬い取れない採用環境の両方に歯軋りする思いがある。
2007-12-26追記
検索して訪れる人もいるので、参考までに自分だったらどのような職場復帰を望むか、ということを書き加える。まずは休職、安定してきたら職場の入り口まで出勤、次はデスクまで行ったら帰る。それができたら次は午前中だけデスクにいて勝手なことをする。さらに時間を延ばして同じことをし、徐々に簡単な仕事をするようにして職場に慣れていく。そしてそれを同僚も上司も含めて納得してもらうことが望ましい。あくまで希望だが。
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