2005-10-22

風邪をひいた

風邪と一言でいってしまうと風邪症候群や流行性感冒に申し訳ないが、風邪にはひくべき時分があり、それを逃してひくと、自他ともに居心地の悪い思いをする。大まかにいって、回りの誰もがひいていないときに風邪をひいてしまうのはよくない。夏風邪は云々というように、流行の最先端を突き進むひとは往々にして理解が得られないものだ。かといって遅すぎてもいけない。回りにぽつぽつと風邪をひいた経験者がいて、現在進行中の風邪をひいているひとがいるくらいがちょうどよい。

風邪をひいたら回りにそれとなく宣言をする。早く帰る口実として、また連れだって昼食にいかない口実として重宝する。適切な時分に風邪をひいたなら、付近の経験者が「今回の風邪は喉にくる」とかなんとか、風邪をひいた当人にはまったく価値のない情報をくれたりする。価値がないからといってこれを無視するのではなく、大切なのはここで共感を得ることだ。経験者・未経験者双方からの共感を得ればしめたもので、風邪の醍醐味を味わうことができる。

風邪の醍醐味とは、普段は靴べら程度の存在である我々が、あまり下におかれない特別な扱いを受けることである。早すぎた風邪では回りに経験者がいないためこの扱いを受けることは難しい。逆に遅すぎた風邪でも、既に皆にとって過去の出来事なので、悪いのは当人であるというほどの扱いになってしまう。

こうした意味では、僕はちょうどよいときにひいたものだと思った。なんといっても晩ごはんを作ってもらえたし、後かたづけもしないでよかった。

時分はさておき、風邪をひいてよかったところは煙草がまずくなったところだろう。無論まずくても吸うことには変わりない。

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