2008-04-20

できない人のために

僕はどうやら「仕事ができる人」と比べると仕事ができないようです。どのくらいできないかというと、その手の人と比べると10倍くらい違うらしいです。そのままでは悔しいし、「仕事ができる人」のふりもしてみたいので、仕事ができる系の自己啓発本を読んだりします。

先日読んだ穂村弘さんのエッセイにもあったのだけれど、それらの本を読むのは実際恥ずかしいことです。というのも、そうした本を書くならともかく、読むということはつまり自分が仕事ができないことを宣言するようなものですので。

とはいうものの、恥を忍んで『最少の時間と労力で最大の成果を出す「仕組み」仕事術』(泉正人)と、『STUDY HACKS!』(小山龍介)を立て続けに読みました。

で、僕の何が変わったか。結局何かをしないことには何も変わらないのですよね。読むだけ無駄とわかっていながら、どうしてこの手の本を読んでしまうのか、自己分析が必要なようです。

2008-04-16

はたしてこれはミステリか

これまでちまちまとシリーズを頭から読んできたのですが、『QED 竹取伝説』(高田崇史)を読みました。

僕の好みに良く合うシリーズなので、安心して読んでいられたのですが、このシリーズはいつもどおりパズルのためなら事件なんてどうでも良いとばかりの潔さがあります。

これまで読んできた中では、本書はその中でも出色の出来で、本当に事件なんてどうでも良いし、登場人物の人間関係がいっこうに進展しなくともまったく気にならず、薀蓄がもっともらしく語られているのを読むだけで気分が良くなります。

しかし、こうした作品をミステリと呼べるのでしょうか。疑問です。

2008-04-15

気合の入ったひと

今日見た気合の入ったひと二人。

・末広町のひと
末広町近辺(つまりはアキバですね)の路上に座り込んだ、おそらく20代の欧米人。リュックサックをしょって、Tシャツを着ていました。Tシャツには「親父にもぶたれたことないのに」と大きくプリントされていました。

きっと一張羅なのでしょう。


・地下鉄のひと
携帯電話をしきりにいじっているのですが、駅と駅の間では常に携帯電話を振っていました。おそらく40歳前後の女性。

きっと昔からのユーザなのでしょう。

2008-04-14

社長の時間の使い方

仕事で出張していますが、急いで手元にあった本を持って出かけたので、残念ながら行きの新幹線の中だけで読み終えてしまいました。読んだ本は『儲かる会社にすぐ変わる! 社長の時間の使い方』(吉澤大)。身の回りにいる社長の時間の使い方を見ていると、確かに時給は安いな、と思わざるを得ません。そんな社長のための時間術の本です。

ただし、ダイエット、自己管理、時間管理、利殖、禁煙の本は出れば売れるようだから、時間管理というのはダイエットと同じくらいに難しいのでしょう(僕はやせているけど)。時間管理の本を読んだからといって、時間が上手に使えるようになるわけではありません。あくまでも自分にあったやり方を見つけるように努める、という程度のもので。

2008-04-12

信長の功績

にょっ記』(穂村弘)を読みました。相変わらずフジモトマサルさんの絵に萌え苦しんでいるわけですが、穂村さん、素敵ですね。さりげなく何気なく面白かったです。

特に笑ってしまったのは

問ひ 織田信長の功績を書きなさい
答へ 信長の死


関税の廃止とか、楽市楽座とか、宗教と政治の分離だとか、いろいろ考えてみたところ、後の歴史に与えたインパクトは「信長の死」がもしかしたら最適なのかも、とか思ってしまいました。

2008-04-10

マクルーハンの光景

そもそもマクルーハンはわかりにくいです。まるで何か大切そうなことを言い放ってから「僕は知らないけどね」とでもさらっと言うようなとっつきにくさで、それが魅力であったりもします。そうした物言いは、ある意味では予言や箴言のようにも聞こえてしまい、学者の言うことではないだろう、というかわいそうな読まれ方もします。

マクルーハンの光景 メディア論がみえる』(宮澤淳一)を読みましたが、この本ではそういうかわいそうなマクルーハンをパラグラフ・リーディングで丁寧に読み込んで、精緻な論陣をはっている事を堪能できますし、「メディア(こそ)はメッセージである」とか「グローバル・ヴィレッジ」とかの概念をできるだけマクルーハンの言っていることに沿いながら理解しようと努めています。

で、本書を読んですっきりと理解できるかというと、そう一筋縄ではいかないところがマクルーハンの魅力です。論理の飛躍あり、言葉の曖昧さあり、解釈の多面性ありで、そうしたところもよりよく味わえるようになれるようになるのがこの本の素敵なところでした。「マクルーハンはこう読め!」ではなくて、「マクルーハンって大体こんな感じ」という控えめさ(誠実さ?)とでもいえるのでしょうか。

2008-04-08

『という、はなし』

フジモトマサルさんの絵に萌え苦しんだため、『という、はなし』(吉田篤弘、フジモトマサル)を読みました。テーマは「読書の情景」。

ミヒャエル・エンデの『鏡のなかの鏡―迷宮 』やバリー・ユアグローの『一人の男が飛行機から飛び降りる』に近い感覚を味わいました。幻想的で、連綿としていて、ふつっと途切れるような感覚。読み続けたいような、読むのをやめて考え事をしたいような感覚。こういう不思議さは連載という形式によってもたらされたのか、絵が先にあって文が後に来たからなのかはわかりませんが、味わい深い本をゆっくりと(僕にしてはゆっくりと。二杯のカモミールティーを飲みながら)楽しみました。

ついでに気に入った文を引用。

愚かしさにつける薬はないにしても、とりあえずきりりと口を結んで活字の点滴を打ってもらう。すると、そもそも自分が何者であったのか、ようやく思い出す。
「読者」であること。
肩書きはそれだけでいいのだ。

2008-04-06

結局は興味と努力

記憶力を強くする』(池谷裕二)を読みました。全体からいうと脳生理学の話で、肝心の記憶力を強くするには単純に
・対象に興味を持つ
・記憶しようと努力する
くらいに尽きるかな、という感想です。

なんだ、読むまでもないじゃないか、と思うかもしれませんが、その結論に至るまでが興味深く面白かったです。

2008-04-05

東洋医学を知ったかぶりしていますか

東洋医学を知っていますか』(三浦於菟)を読みました。東洋医学を知っているようなふりをしていた自分の目が覚める本です。

もっと踏み込んだ内容となると、一般人には手が出そうもないのでこれくらいの濃さがちょうど良い感じです。現在クライアントに漢方薬関係の企業があるので、話しの種にもなりそう、という下心あり。

それにしても、著者は「おと」さんですよ。森鴎外の子どもと同じ名前。「国際的に通用する変な名前」として有名な森一族の長男と同じ名前というのは、どんな気分でしょうか。奇しくも医学の道で同じわけだし。

『リスクテイカー』感想

人からおすすめされて、『リスクテイカー』(川端裕人)を読みましたが、僕の趣味にはあわない本でした。

金融に関する情報量は豊富で、スリリングな展開の良い本だと思うのですが、どうも小説の世界にのめりこめずに終わりまで過ごしてしまいました。その筋で生きている人間も僕の知人にいるのですが(その知人は自己破産しました)、そうした人の心理は本当にこんなものだろうか、という疑問がぬぐいきれなかったのです。後はカオスと超ひも理論の混濁とか、しっくりしません。

なんというか、若々しいというか未熟というか、まるで登場人物がみな中学生のような感じがしてしまい、しっくりとこなかったのです。僕が投機に関して無知なことが災いしているのかもしれませんし、性格上、投資は好んでも投機は好かないのです。

おすすめくださった方には申し訳ない思いですが、ぼくはこの本を誰かにすすめようとはあまり思えません(所詮僕の主観ですが)。「投機」の世界に興味を持つ中高生にならすすめるかも知れません。