2008-04-08

『という、はなし』

フジモトマサルさんの絵に萌え苦しんだため、『という、はなし』(吉田篤弘、フジモトマサル)を読みました。テーマは「読書の情景」。

ミヒャエル・エンデの『鏡のなかの鏡―迷宮 』やバリー・ユアグローの『一人の男が飛行機から飛び降りる』に近い感覚を味わいました。幻想的で、連綿としていて、ふつっと途切れるような感覚。読み続けたいような、読むのをやめて考え事をしたいような感覚。こういう不思議さは連載という形式によってもたらされたのか、絵が先にあって文が後に来たからなのかはわかりませんが、味わい深い本をゆっくりと(僕にしてはゆっくりと。二杯のカモミールティーを飲みながら)楽しみました。

ついでに気に入った文を引用。

愚かしさにつける薬はないにしても、とりあえずきりりと口を結んで活字の点滴を打ってもらう。すると、そもそも自分が何者であったのか、ようやく思い出す。
「読者」であること。
肩書きはそれだけでいいのだ。

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