2008-04-10

マクルーハンの光景

そもそもマクルーハンはわかりにくいです。まるで何か大切そうなことを言い放ってから「僕は知らないけどね」とでもさらっと言うようなとっつきにくさで、それが魅力であったりもします。そうした物言いは、ある意味では予言や箴言のようにも聞こえてしまい、学者の言うことではないだろう、というかわいそうな読まれ方もします。

マクルーハンの光景 メディア論がみえる』(宮澤淳一)を読みましたが、この本ではそういうかわいそうなマクルーハンをパラグラフ・リーディングで丁寧に読み込んで、精緻な論陣をはっている事を堪能できますし、「メディア(こそ)はメッセージである」とか「グローバル・ヴィレッジ」とかの概念をできるだけマクルーハンの言っていることに沿いながら理解しようと努めています。

で、本書を読んですっきりと理解できるかというと、そう一筋縄ではいかないところがマクルーハンの魅力です。論理の飛躍あり、言葉の曖昧さあり、解釈の多面性ありで、そうしたところもよりよく味わえるようになれるようになるのがこの本の素敵なところでした。「マクルーハンはこう読め!」ではなくて、「マクルーハンって大体こんな感じ」という控えめさ(誠実さ?)とでもいえるのでしょうか。

0 件のコメント: