2010-12-01

『正しく決める力』

正しく決める力―「大事なコト」から考え、話し、実行する一番シンプルな方法』(三谷宏治)を読みました。するするっと読めてしまう本でしたが、その理由が平易な文体にあるのか、それとも書かれていることになじみが深いためか、あまり判別したくありません。

本書の要旨といえば、正しく決めるためのフレームワークが書かれていて、その枠組みは
・『重要思考』:差よりも重さに注意し、大事なことから考えること
・『Q&A力』:効率よく正しく理解・説明をして、大事なことを問い、答えること
・『喜捨法』:大事でないことを刈り込み、捨てること
という感じです。

この手の本を読み慣れると、書いてあることは既知のものばかりに感じますが、再確認するのもまたよいものです。しかし僕がいつまでたっても正しく決められないのは、正しく決めて正しく実行する力を正しく身につけていないのではないかと、どこまでもさかのぼってしまいます。ですから欠陥の多い我々(少なくとも僕)に向けて、なぜわかっちゃいるけど変われないのかを平易に解説する本があったら、喜んで読みますね。

あと、どうにも腑に落ちないこととして、本当に正しいと言い切れるのかという疑問がつきまといます。仮に256個の選択肢があるとして、この手の本ではそのうちのただひとつが正しいとされるかのような印象を受けますが、僕の感覚では明らかに正しい選択肢と明らかに正しくないのはそれぞれ26個くらいのように思えます。その26個くらいの選択肢のうちどれかひとつを疑いなく選べるのなら世界は幸せに感じられるでしょう。しかし経験から言えば、顔では自信たっぷりに決定をしていても背中には冷汗がダラダラと流れていて、かといって不安そうにしているわけにもいかないのでやせ我慢している、というのが実情ではないでしょうか。

ものごとを単純化すると気持ちよいし、シンプルな理解は強力な実行力を生みそうな気もします。ですが僕は世界の単純さよりも複雑さを信じていて、大事ではないと思って切り捨てた蝶の羽ばたきがどこでハリケーンを起こすかわからないと思っていたいのです。結果として、自信を持って言いきれないということは自信を持って言える、という変なことになり、こうして韜晦していくのです。

0 件のコメント: