2009-06-12

『ウェブはバカと暇人のもの』

ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書)』(中川淳一郎)を読みました。タイトルがすべてを物語っています。Webとのつきあい方で結論的に言えることは、過大な期待も失望も避けた方がよさそう、という程度です。それにしてもタイトル商法はすごいですね。

先日話題になった、梅田望夫さんのインタビュー記事(日本のWebは「残念」)と対極をなす内容です。本書の切り分けではWebで情報を消費する人の立場に立っていて、情報をつくり出すあるいは活用する人の立場には立っていません。

まあ刺激的に「バカと暇人」と書かれていますけど、ネットニュースサイトを運営していたりすると信じられないようなバカと暇人を目にしますから、Webが彼らのものというわけではなくて、著者に関係する領域のWebで非常に目立つ行動をしている人たちはバカと暇人というくらいのものでしょう。バカも暇人も、それで責めを負うようなものではありません。僕から見たら新聞の投書欄はバカと暇人のものですし(暇に関してなら合理的に推測可能な統計をとれます)、業界団体の会議なんていうのもかなりバカと暇人のものです。

ではどうしてバカと暇人のものになっているように見えるのでしょう。話を単純にするために情報消費系のコンテンツに限ると、スポンサーがバカと暇人に有利になるようなビジネスモデルをつくっているから(そしてそれくらいしか成功していないから)ということと、マスを対象にした情報は必然的に欲求を直接充足させるようなものとなるからではないかと考えました。つまり著者の立場でものを書いたら、Webがバカと暇人のものになっているように見えるのは必然、ということですね。これが必然とまでなったのはそれだけ人口に膾炙していることの表れで、ハード業者、インフラ業者、ネットワーク業者、サービス・コンテンツ提供業者のたゆまぬ努力が讃えられるべきだと思います。

もちろん情報消費系ではないコンテンツは山ほどあります。もっともわかりやすいところなら、Wikipediaなんてバカと暇人と賢人と多忙な人とどれでもない人によって有象無象に編集されている感があります。日本語版で情報量の豊富さが目立つのは芸能・アニメ・鉄道ですし、記事の質についてあれやこれやと言われていますが、ひとまず役立つサイトであるのは認められていることでしょう。

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