2009-07-27

『仏教ではこう考える』他

仏教ではこう考える (学研新書)』(釈徹宗)を読みました。不真面目な真言宗徒として仏教の考え方を何となく知ってはいるのですが、こういう本には食指が伸びます。表紙カバーを開いたところにある惹句に、ちょっと気になる文句があったのですよ。曰く、まさにこの人は「仏教の白石さん」だ、とのこと。白石さんはもちろん「あの」生協の方ですが、当意即妙の回答があるのかな、と期待して読んだところ、期待が裏切られることはありませんでした。

釈さん(本名なのでしょうかね。できすぎた名前です)は、この本を読む限りでは人に法話をするのも人から頼られるのもできれば避けたいタイプのようで、確固として半ば盲目的な信仰をお持ちの方ではないようです。そんなお坊さんだからこそなのか、ご本人が比較宗教思想を研究なさっているからか、仏教(浄土真宗)にどっぷりとはまった話ではなくて、どうやら真宗ではこうしているっぽい、というようなニュアンスが漂います。寄せられた質問に回答するにしても、「~しなさい」というのではなく、仏教的な立場から「たぶん~ということなのでしょうね」といった感じです。

だからといって当事者の立場にも身を置いていますので、完全に突き放すわけでもなく、基本軸がすごくしっかりしている回答なのです。著者曰く仏教的な態度とは、問題の根本まで解体して、関係性から読み解いていく、というようなものだそうです(それは仏教的な態度と言うよりもむしろあるジャンルの哲学的な態度だと僕は思います)。仏教がわかりにくいのは精緻な教学やら膨大な経典やらにあるのではなく、宗派や教えがあまりにも多様だから、と僕は考えているのですが、本書では仏教者のあいだではおそらく共通して尊重される考え方で、雑多な日常的な疑問に答えています。

でもこの本で答えているのは日常的な疑問ですから、宗教性の高いものではありませんね。宗教のある部分は極めて非合理で非社会的なもの(さらに言えば狂っているもの)だと僕は思いますが、この本からそうした要素を感じることはできません。信仰云々を言うよりも、叡智としての仏教思想や東洋哲学の手法を紹介する、という趣でした。

その他、近頃読んだ本。
会社のお金はどこへ消えた?』児玉尚彦
新入社員のための経理マン入門 (日経文庫)』中村輝夫
原価計算の知識 (日経文庫)』加登豊、山本浩二

弊社で労務関連を担当してくれている従業員さんがあまりにも会計関係に疎いので、どの本のどのあたりを紹介すると良いだろうな、と思いながらずいぶん前に読んだ日経文庫を再読。日商簿記のテキストでも良いかも知れないけど、もう少し読むのに面白くて入手しやすくて情報が古びないようなものはないかな、と探しています。『会社のお金は~』はちょっとした興味で。

0 件のコメント: