2009-08-19

『そこにシワがあるから』

エクストリーム・アイロニングって知ってますか? 山頂・水中などのありえないような場所や、サーフィン中・ジャンプ中などのありえないような状況でアイロン掛けをするのです。僕がこのスポーツを知った時は「ウケ狙いで無茶をしているんだろう」程度の認識でしたが、『そこにシワがあるから──エクストリーム・アイロニング奮闘記』(松澤等)を読んで考えを改めました。どんな剃刀にも哲学はあるように、どんなスポーツにも哲学はあるのですね。このスポーツと真剣に格闘している著者の姿勢には頭が下がります。また本書には写真がたくさん掲載されているのですが、大まじめにやっているからこそなお笑えます。

考えてみれば、アイロン掛けは危険な家事で、登山(など)は危険なスポーツです。僕の左手にはアイロン掛けの不注意でできた一生ものの火傷痕がありますし、スポーツは少し気を抜けば命を失ってもおかしくありません。その二つの組み合わせが普及する方が不思議なくらいですが、本書によるとエクストリーム・アイロニングには究極の癒し効果があるそうです。登山(など)で達成感を得ることは想像に難くありませんが、それに加えてアイロン掛けの腕前があがるほど、癒し効果は増すと書かれています。著者は肉体能力を常に磨いて様々なスポーツに打ち込んでいるようですが、さらにアイロン掛けにも打ち込み、相乗効果を得ているらしいです。こんな奇特な人が世界に何百人もいるのは僕にとっては不思議なことですが、体験するときっと何かすごい魅力があるのでしょう。

残念なことに僕は日常的にスポーツをしていませんし、アイロン掛けも未熟な上にさぼりがちですので、エクストリーム・アイロニングの癒し効果に興味を持っても、それを体験するには長い長い道のりが必要なようです。僕がやったらそれこそ一発芸になってしまう。意味をはき違えて、エクストリーム・プログラミングをスポーツにしたらどうかなどと妄想しましたが、僕はスポーツ全般にさほど興味がないので、実験さえできません。

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