2010-11-29

結婚式と手袋と決闘と

先日、会社の同僚の結婚式に出席しました。新郎(同僚)は40歳で新婦が26歳という年の差に少しびっくりしましたが、出席者の振る舞いの違いにも興味深いものがありました。新郎は会社で役員を務めるせいか、取引先の方も多く出席してくれていました。一方新婦側で仕事関係の出席者は職場の同僚のみで、幼児教育関係ということもあってかあまりギラギラしたところがありません。

結婚の儀式が終わり、偉いひとの祝辞を聞いて乾杯したら、新郎側の出席者(男性ばっかりで、黒々としています)は各々席を立って他のテーブルへ飲み物をついで回り、名刺を交換したりします。その時に新婦側の出席者は(女性ばかりで、色とりどりに鮮やかです)料理に手をつけ、テーブル内で話をしたり、新婦と写真を撮ったりしています。見た目の色の違いも含め、こうも対照的な結婚披露宴は久しぶりでした。

結婚式がプライベートなものだけではないことはわかっているつもりです。血縁関係の同族を認める儀式で、社会的つながりを強化する舞台で、たとえ人前式であっても宗教的な通過儀礼です。経済的に見れば財の交換だったり、離婚コストを高めるための保険だったり、バタイユの言う消尽や蕩尽だったりするかも知れません。様々な習俗が混ざり合ってしまい、昨今の結婚式では「それは一体どんな意味があるのか?」と疑問に思うことも難しくなりがちですし、かなり怪しい曰くをつけることもありますが、由来を辿ればきっとどこかに行き着くことでしょう。

そんなことを気にしながら食事をしていて、新郎の白手袋に目がとまりました。この手袋って、実際には使いませんよね。実に儀礼的で美しいものですが、意味が重すぎます。自衛隊に勤務している友人の結婚式ではサーベルを着用していましたが、それと同じようなもので、宗教的な穢れとかに配慮すると同時に、衣装で上下関係を表すものなのでしょう。そう考えているうちに、決闘の申込みに手袋を使う事を思い出しました。

どうして手袋なのだろうと前から疑問に思っていたのです。手袋を投げつけたり、手袋で叩いたりするには、まずは常時手袋を持っていなければなりませんしね。ところが結婚式における手袋の意味を考えたら、結構すんなりと解釈できそうです。決闘の第一義は個人間のいざこざを解決することでしょうが、法制史の流れと同様、社会的に同意の得られる取り決めとして各人が了解していなければ成り立ちません。

それで、決闘の歴史に興味が湧きました。ひとまず検索して引っかかった、『決闘裁判―ヨーロッパ法精神の原風景』と『図説 決闘全書』に目を通すつもりですが、どなたかおすすめがあったら教えて下さい。

0 件のコメント: