2007-03-08

区立図書館事情

配偶者が静養のために実家へ帰った。その際に、配偶者が図書館から借りていた本の返却(入院中に返却期限を過ぎていた)を頼まれたので、はじめて自宅から徒歩3分の区立図書館へ行った。せっかく図書館へいったのだから、書架を一通り眺めて帰ろうと思い、社会科学系と自然科学系の開架にざっと目を通した。

僕は高校生までは図書館を有効に利用した経験はあまりなく、大学図書館が初期体験としてインプットされている。僕が在学していた頃ではいまよりも貧弱ながら、それなりに大学間でのネットワークがあったので、提携していた大学図書館も利用させてもらっていた。閉架書庫にもそれなりに目を通している。

そして今回が僕にとっての区立図書館デビューなのだが、はっきりいって失望した。もちろん予算も違うし利用目的も違うから、開架されている書籍にははっきりと傾向の差があらわれるとは予想していたけれど、それにしても酷い。ざっと見たところ、僕が読みたいと思った本は社会学理論の古典数冊と民俗学関連数冊しかなかった。コンピュータ関係なんて、動物が表紙の本は1冊しかなかったし、UNIX関連の本は「自宅でホームLinuxサーバ」系統の本(しかもそれらの内容が古いハウツーなので、今となっては役に立つ部分は少ないどころか害になる部分も多かった。大体自宅サーバで安易にtelnetを使うとか、つっこみどころ満載だ)や「ホームページのつくりかた」系統(しかもそれも内容古いので、例えばHTMLの書き方にしても現状の標準からは決しておすすめできないものが書かれている)しか見られなかった。

一部分しか見ていないので判断はできないが、それなりの蔵書数がありながらこんな本を借りて、それなりの時間をかけて読もうとする区民がいるなんて信じられないし、こんな本を限られた書架に入れようとする関係者の見識も信じがたい。僕自身学部生時代に図書館運営サークルに属し、図書館運営、特に購入図書の選定には多少の関わりがあったので、僕のいうことはそれほど見当違いでは無いはずだ(なお、僕の自宅の蔵書を見たことのあるひとは、若気の至りの残骸が多く含まれていると思ってほしい)。

もっとも最近の公立図書館はネットワークがかなり密になっているらしいから、ひとつの図書館で判断するのは、2ch.netの特定のサブドメインをみてThe Internetを判断するようなものかも知れないが、図書館の利用目的は受験勉強に励む場所、新聞や雑誌を読む場所、単発ベストセラー小説を借りる所ではなく、単純に有用な知識なり資料なりを入手する所だと信じている。もっともベストセラー小説も新聞や雑誌も有用な知識や資料であることに間違いはないが、それはメインでは無い。

幸い現在僕にも収入や貯蓄があるから多少高価な書籍も購入可能だし、かつて所属していた大学の図書館を利用する権利も持っているので、入手困難なあるいは目を通すだけで済ませたい書籍にふれる機会はある。しかしこうした恵まれた境遇にいる人間はそれほど多くないと思う。

納税者である区民、区議会議員、区立図書館関係者や、書籍卸売業者や出版社の再考を促したい一方、僕にできることとしてまずは区立図書館事情を調べ、区立図書館愛用者である配偶者(文学専門の利用者だ)を問い詰める所からはじめたい。おそらくそこで「マニアック過ぎる」といわれて玉砕するに違いないが。

2007/3/8 23:50頃、以下追記。
社会科学系で読みたいと思える本が少なかったのは、僕の現在の病気による可能性もあるので、ちょっと悪く書きすぎたかもしれない。実際3/5に恩師から頂いた近著ですら、まだ目次しか読んでいない。ただし、コンピュータ関係でろくでもない本しか置いていなかったのは病気をさしおいても確かな事だ。

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