2009-12-12

ハイリホー

かなり雑談です。

はじめての現代数学』(瀬山士郎)を読みました。古典的な数学体系からはじまって非ユークリッド幾何学やら無限やらが問題にされてきたところを語り、集合論、位相幾何学、論理学(特に不完全性定理)、ファジイ理論、フラクタル理論、カタストロフィー理論などを解説しています。

最近読んだガウアーズの『1冊でわかる数学』もおもしろかったけれども、そっちは言葉を尽くしてエッセンスを伝えようとするのに対して、こちらはわかりやすい比喩で(単純化した表やら式やら図やらで)エッセンスを伝えるような趣があり、どちらも軽くて楽しいです。ついでにいうと、ガウアーズの本は耳目を集めやすい不完全性定理やカオス理論をあえて避けていましたが、こちらにはそういうこだわりはなく、きわめて広い範囲を俯瞰しています。

著者は微妙なジョークのセンスをお持ちのようで、横書きの数学啓蒙書にしては珍しく、頻繁に他愛もない冗談が入っています。その中で僕の琴線に触れたのが、ε-δ法の解説で「ここにもあの、時代の叫び声、ハイリホーがかすかに響いてくるが(後略)」というところです。こんな他愛もない軽口ですが、なぜかツボにはまってしまいました。

本書は1988年の出版です。丸大ハンバーグのCMはちょうどその頃だったはずで、いまでも「ハイリハイリフレハイリホー ハイリハイリフレッホッホー」の曲が耳にこびりついています。嘉門達夫が「はいれ風呂」と歌ったのもなぜかよく覚えています。これが「背理法」になってしまう情けないセンスに脱帽しました。本当にお気軽な感じです。

でも僕が読んだのは2009年に早川で文庫化されたものですから、訳のわからない人もきっと多いのだろうな、と。まるでガンダムのようなおっさんホイホイですね。

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