2009-12-15

『つかぬことをうかがいますが…』

つかぬことをうかがいますが…―科学者も思わず苦笑した102の質問』(ニュー・サイエンティスト編集部編)を読みました。「ニュー・サイエンティスト」のQ&Aコーナーを編集したもので、楽しかったです。

雑誌のQ&Aといっても専門家が答えるのではなく、読者の質問に読者が答えるのです。答えるのがどのような人かは様々ですが、科学に造詣の深そうなひともそうでなさそうな人もいます。明らかに間違った回答もあるし、回答に寄せる補足的回答もあるし、ジョークの回答もあります。こう書くと巷のQ&Aサイト(OKWaveのようなの)を想像するかも知れませんが、まあそれに近いですね。違いは編集されたものということもありますが、質問(と回答)がある程度は科学的な内容であることくらいですかね。

ごくわずかですが、目次からいくつか抜粋します。

  • あの祝砲ってやつは、ほんとは弾丸が落ちてきたとき危険なんじゃないですか?
  • 羊はなぜ、横によければいいものを、いつまでも車の前を走るのでしょうか?
  • 冷凍庫では冷たい水より温かい水のほうが早く凍るって、ほんとうですか?
  • もしもタイムマシンでいつだかわからない時代へ送られてしまったら、どうしたらいまが何年何月何日かわかりますか?
  • 写真を見るだけで、日が昇るところか沈むところか見わけることはできますか?
  • ティア・マリアというコーヒーリキュールにクリームを薄い層になるよう注ぐと、表面に活発なドーナツ形の循環パターンが表れます。どういうわけですか?
こういった質問に興味を持ったら、それに対する侃々諤々とした回答を追っていくと、まるで自分もその議論に加わったかのような感覚を味わえます。先に挙げた祝砲の質問に対して、王立陸軍理科大学のかたが弾丸の初速と到達高度と地表に落ちてきたときの垂直速度を答えると、メルボルン在住のかたが各種の弾丸によって変わることを数字をあげて説明し、それに加えて垂直に弾丸を発射した後にどれだけ付近に落ちてくるかを実験した結果をロンドンのかたが解説し、ファイフ州(スコットランド)のかたが第二次世界大戦中に戦闘機の機関砲から排出される薬莢を拾った経験を語ります。

特におもしろいのは、回答が正解ではない可能性を秘めていること、回答が結ばれていないところです。あれやこれやと寄せられる回答を読んで、どの答えを採用するかは読者次第というところも多少あり、唯一無二の「答え」は保留されるあたり、まさに科学的です。

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