2010-07-16

『バッカーノ! The Rolling Bootlegs』

いまさらですが、『バッカーノ!―The Rolling Bootlegs』(成田良悟)を読みました。思うところはいろいろありますが、お祭り騒ぎは楽しく、まさに消費のための読書という感じです。

言葉が一風変わっているところ(誤字や誤記かも知れない)や、1930年代のニューヨークでは知るはずのないこと(とくに直喩で気になった)や、「偶然」「必然」「螺旋」「永遠」「監獄」といった言葉が直截すぎてなんだか気にさわることはさておき、楽しく読みました。

こういう小説を読むときの作法として、どの登場人物に萌えるか、という重要な問題があります。その際に前提として共有されている「キャラクター」という考え方に、近頃僕は引っかかりを感じているのですよね。記号のように「この人物はこういう人」と当てはめたり、逆に「よく知られるこういう行動(や属性やetc.)の集合でこういう人物」となっていたりするのは、小説を楽しむ程度なら何の問題もありませんが、現実にまで敷衍されたりすると、人間の複合的な性質を軽視することになってしまうのではないかな、と思っているのです。

「キャラ」について上記のようなことを高校時代の友人に話したら、「それって東浩紀がずいぶん前に書いていたことだよね」といわれました。何となく「しまった」という感じ。

0 件のコメント: