2008-12-19

『プルーストとイカ』

プルーストとイカ―読書は脳をどのように変えるのか?』(メアリアン・ウルフ)を読みました。断言しますが名著です。構成も見事だし見地は斬新だし。

本書は大雑把に言えば「文字を読むことによってどのように脳が変化をするか」という事を論じています。マクロなレベルでは人類が文字を発明し、現在の様々な書記体系に至るまでの歴史であり、ミクロなレベルでは人が産まれてから文字を読めるようになるまでの発達史です。面白いことに、人間の脳には文字を読むための専用の機能はない、というのですね。つまりタイトルの一部にもあるように、イカの神経索を研究することが人間が文字を読む際の脳の働きにも洞察を与えるということです。生物は常に、器官の機能を転用することで進化しますが、脳に関しても例外ではないということは、わかってはいるつもりでも本書を読んで納得させられました。

詳細な感想を書くほどに消化していませんが、遅ればせながら今年読んだ本の中では最も面白かったです。

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