2008-12-22

『フリーランチの時代』

フリーランチの時代』(小川一水)を読みました。

著者の本をそれなりに読んできて、傾向が朧気ながらつかめてきました。少なくとも早川の出版物に関して言えば、その傾向からあまり外れることはないので、ファンならば安心して読めるでしょうし、ファンでなくとも一作品くらいならばプッシュしてみたいです。

作風はあくまで科学技術的にいかにも説明のつきそうな記述がまずは魅力です。そして近年の作品に至るほど、技術や設定に力を注ぐよりも、社会と人間と環境に力点を置いているようです。純粋なSFファンの好みとは離れつつあるかも知れませんが、僕は好きですね。

ただ、本書には「フリーランチの時代」「Live me Me.」「Slowlife in Starship」「千歳の坂も」「アルワラの潮の音」が収められていますが、『時砂の王』のサイドストーリーとなっている「アルワラの潮の音」は出来映えがいまいちのように僕には感じられました(上から目線)。それが少し残念です。

0 件のコメント: