2009-03-02

『英語を学べばバカになる』

英語を学べばバカになる グローバル思考という妄想 (光文社新書)』(薬師院仁志)を読みました。著者が教育社会学を専門としていることもあり、読む前には教育機会や文化資本や教育制度の話かと思っていたら、英語教育の話ではなくてほとんどアメリカ文化批判の話でした。

これはこれで面白かったけれど、タイトルに偽りあり。「グローバル思考」=「アメリカ文化思考」を前提として受け入れるならタイトルは正しいけれど、どうも僕の意見とは違うので。日本の教育界では確かに英語教育偏重の傾向はあるし、多文化受容の傾向にはないと思うけれども、僕の直感ではインターナショナリズムとマルチカルチュラリズムが混同されているような気がしました。

「そうか、僕は英語を学んだからバカになったのか」と納得はできそうもありません。英語を学ぼうとそれ以外の言語を学ぼうと母国語での抽象思考を学ぼうと、または実務上で必要な知識を言語に関係なく学ぼうと、いずれにせよ時間やカネの投資は必要です。そのどれに投資したらリターンが大きいかという考え方をすると、日本の言語環境や経済環境を考慮すれば恐らく母国語を用いた学習が効果が大きい、という程度なら納得できるのですが、それ以上に文化批判の話をされてしまうと、この人はアメリカが嫌いなのだな、という感想が先に来てしまいます。

ちなみに僕はアメリカで暮らしたことも行ったこともありませんが、アメリカ中西部で育った友人が非常にアメリカ嫌いでしたので、アメリカ嫌いの気持ちも想像できます。だからといって異言語を学ぶ有用性まで一概に論じたりできないよな、と思います。つまり単一の国際文化としてアメリカ文化を捉えるのではなく、多文化の一つとしてアメリカ文化を捉える相対性さえ持っていればいいんじゃないかな、と。

べ、別にフィリピンパブで英語を喋ったらおねいさんたちにもてたなんてことはないんだからねッ!

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