2008-02-03

雪と執事と偉大さと

今日は休日出社をする予定だったけれども、朝に社長から電話があり、「雪が降っていたので無理して出社しなくともよいよ」とのこと。厚意に甘えて(社長に仕事を投げて)家でゆっくりすることにしました。

東京の雪は好きです。かつて田舎暮らしをしていたころはそれほど好きでもなかったけど、毎日無用なほどの音に囲まれて生活していると、雪が降っているときにほんの少し静けさを取り戻す感じが、好ましく思えるようになりました。

と、ほんの少しいつもよりも静かな環境で、以前人からおすすめいただいた『日の名残り』(カズオ・イシグロ)を読みました。印象としてはこの本は喧騒で読むべき本ではなく、こういう日にしっとりと読むべき本で、ちょうどよい読書の日を選ぶことができたと満足しています。

伝統的な英国というものを皮膚感覚としてわかっているわけではない僕としては、この本の伝統的な描写がよくわかるわけではありません。こういうところは育った文化の違いに苦しめられるところです。例えば伝統的な日本を風景として書いた本であれば、日本のいろいろな時代の古典をそれなりに読んできているのでよくわかるものですが。

でも立派な仕事をしようと追求する姿勢には普遍性があるのか、そうした部分は楽しめましたし、物悲しい自己反省や身の回りのくさぐさに対する認識の変化など、とても身にしみました。もちろん話としても語り口としても面白く(とても抑制されたユーモアが手放しで好きです)、素敵な小説でした。

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