2007-12-30

社長がメッセージを発信する効果

ITバブルと言われたころの企業のウェブサイトには、まず最初に「ごあいさつ」として企業トップからの害はないが薬にもならない公式見解が載せられていた(今でもそうしているところが多いが、決して貶しているわけではない。公式見解も場合によっては役に立つ。実際僕は役に立てている)。公式見解を読んでなるほどすばらしい会社だなどと思う人もいるが、大して関心がないほうが多いだろう。

以前僕が勤務していた会社でも、トップからのメッセージは時々流された。それは社内向けの場合、あまり人には読まれなかったようである(少なくとも僕の周りでは、という条件つきなので、これを一般化しようとは思わない)。社外向けの場合いろいろな受け止め方があるが、投資家やリサーチャーではないエンドユーザにとってはそれほど重要な情報ではない場合が多い。

昨今の会社では、社長が積極的に情報発信している例もある。これの効果にも経営という面から見たらよしあしはある。まず企業理念がトップダウン式にコンセンサスになってしまう。トップダウン式に形成された企業理念は、末端の社員にとっては精神的負担となることもあれば、モティベーション向上に役立つこともある。たとえばカリスマ的な経営者のいる会社では、「この人についていこう」という考え方も「こんなメッセージはうざい」という考え方もあるはずだ。

次に、企業が属人的要素に依存してしまう。たとえばソフトバンクの社長が交代したらどのような企業になるかあまり想像できないのに対して、トヨタの社長が交代してもどのような企業になるかはある程度は想像しやすい。50年生きる組織を作ろうとしたら、ひょっとしたら後者のほうが組織として強いかもしれない(まだ良くわからないが)。極端な例を言うとライブドアのようなこともあるし。ただし当然のことながら、クセが強いかどうかはともかく、社長が自分の言葉で情報発信できないような企業は強くはないだろうし、ディスクロージャーという流れから見ても情報発信はある程度は必要である。

とりあえず、企業トップが自分の言葉で情報発信するのは良いことだとは思うけど、何事も中庸を選びがちな僕の感覚からすると、あまり不用意にブログとかを書かないほうが良いと思うような例もある。ほどほどに。

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