2009-02-02

『キーボード配列QWERTYの謎』

キーボード配列QWERTYの謎』(安岡孝一、安岡素子)を読みました。

読者の側が勝手に期待する夾雑物を除けば、純粋に面白い本です。本書はキーボードの配列がどのようにして現在のかたちに変わってきたのかということを、技術史として描いています。合理的理由から配列が決定されたのではなく、試行錯誤とマーケットの都合で現在の配列になっているようですね。書かれている内容が興味深いだけではなく、古いタイプライターや特許申請用のスケッチなどの図版がたくさん載っていますので、そちらも大いに楽しめます。

僕も一時期は「QWERTY配列はタイプライターのアームがジャムすることを防ぐために、わざと打鍵しにくく設計された」という俗説を信じていましたが、どうやらそうではないことを聞き及びました。本書ではその経緯が詳しく書かれているので、キーボードに興味のある方は楽しく読めることでしょう。かといって過度な期待はするべきではありません。あくまで技術史であり、憶測は慎重に避けられているので、最初期のキーボード配列がQWERTYに近かった理由は技術者(発明者)の試行錯誤としてしか記されていません。従って、どうしてこういう配列になったのかという疑問に充分応えるものではありません。

僕はDVORAK配列に憧れたり親指シフトを使ってみようかと考えたりもしましたが、結局今のところはJIS配列とASCII配列を使うくらいです。emacsに慣れてしまったせいもありますが、愛用のキーボードはHappy Hacking Keybord Proをそのままの配列で使うのと、もう一つはRealforce 91 UBKの「Ctrl」を「CapsLock」と、「Esc」を「半角/全角」と入れ替えているものです。要は好みと慣れと言うことで。

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