2008-11-08

『クリスタル・サイレンス』

クリスタルサイレンス〈上〉』『クリスタルサイレンス〈下〉』(藤崎慎吾)を読みました。

仮想電子空間の描写が、ここ最近出会ったSFのなかでは最も素敵だったのではないかと思いました。仮想電子空間に限らず、ネットワークの性質やデジタル情報の性質について、非常に細かな描写や設定が素敵です。こうした物語世界を垣間見たというだけでも、充分読んで満足でした。

それに限らず、KT(主要登場人物)の獅子奮迅ぶりなど、数秒の出来事なのだろうけれどもその冷徹さと非情さに痺れました。あえて苦言を呈するなら、ツッコミどころは縄文人と弥生人の分断を前提としているあたりと、フラクタルとして解析できる人工物が普遍的にあることをちょっぴり無視しているあたりでした。

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