2008-11-12

『たったひとつの冴えたやりかた』

たったひとつの冴えたやりかた 改訳版』(ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア)を読みました。この本は多分中学生の頃に読んだのですが、訳者は同じながらも新しい訳がでているようだったので読んでみました。

感想として、なんといってもずいぶん前に読んだ本なので、翻訳の違いを味わうほどには覚えていませんでした。話の細かいところも覚えていなかったし。あらすじは覚えていたけれどもほとんどはじめて読む本のように楽しめました。物語の主要な語り手が15才くらいの女の子なので、訳文もそれらしくやさしい語り口ですし、とても読みやすいです。それにしても主人公たちの「たったひとつの冴えたやりかた」に至る決断を思うと、胸が熱くなります。前後の作品がないのは、物語の流れから言って少し残念でもありますが。

ところで、初出は1986年とせいぜい20年前なのに、音声を記録するのに磁気テープやカセットを使うとか、紙テープに出力するとか、色々な電子デバイスが本当に陳腐化しているところを思うと、現在のコンピュータ系の世界を舞台としたSFも20年すると陳腐化するのかな、という複雑な思いです。まあ古いSFにその傾向はいつでもつきまといますが。

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