2008-07-23

蝶のゆくえ

蝶のゆくえ』(橋本治)を、人から教えてもらって読みました。家族や世代といったようなことを、基本的に女性視点から描いた短編集です。

感想は一言で、「怖い」です。こんなに人間の弱さや醜さを淡々と書き綴るのには、もっと虚構性があったほうが書き進めやすいだろうに、非常に日常的あるいは現実的で、なおかつフィクションで書いてしまう、という著者が怖いのです。もっと単純にストーリ自体が怖い作品もありますが(僕は「ふらんだーすの犬」が怖かった)、短編小説集として読んだときにはとても平凡に見えるシチュエーションの作品が怖かったです。

ところで、基本的に女性視点で書かれているけれども、橋本治さんなら納得、という不思議な感覚があります。だって桃尻娘だし、趣味は編み物だし。

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