『怪しい科学の見抜きかた―嘘か本当か気になって仕方ない8つの仮説』(ロバート アーリック)を読みました。先日感想を書いた『トンデモ仮説の世界』と似たコンセプトの本です。
コンセプトは同じだけれど、こちらのほうが仮説の数を絞って、より作法に則って検証しています。ちなみに検証した仮説と著者による検証結果は、
- 同性愛はおおむね生得的なものである:インチキ度0
- インテリジェント・デザイン説は進化論の妥当な代案である:インチキ度3
- 人々は賢く(愚かに)なっている:インチキ度1(2)
- 念力で外部の物体に影響を与えることができる:インチキ度4
- 地球温暖化を(それほど極端に)心配する必要はない:インチキ度1
- 複雑な生命体は宇宙では非常にまれである。:インチキ度2
- 偽薬であなたを治療する(あるいは病気にする)ことができる:インチキ度0
- 高コレステロールは心配するに値しない:インチキ度2
でした。4段階評価で、インチキ度は0だとかなり信頼すべき説であり、インチキ度4だと信頼すべき証拠がないことを意味しています。
この本は公平そうな立場で、できるだけ中立的かつ論理的に、それぞれの説を詳しく検証しています。上記のインチキ度はその結果として著者がランク付けたものですので、それを鵜呑みにする必要はありませんが、あくまで参考として。
それにしても、科学の世界でもカール・ポパーのいう「反証可能性」を無視して主張する人たちがいるものだ、と一部の説で思いました。僕がかつて足を突っ込んでいた分野では「これは芸術か科学か」という微妙な論文や著作を多く目にしました。本書を読んで、科学も人間の営みなのだな、というなんだか良くわからない納得の仕方をしてしまいました。
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