2008-07-06

軽い考古学

考古学千夜一夜』(佐原真)を読みました。

出版が古いから最新の考古学や人類学の知見(かなり日進月歩の世界ですよね)は反映されず、当時の学説や定説を紹介するのは仕方がありません。それでも考古学の専門家が、軽いタッチでエッセイを綴る、というのは読んでいて気持ちの良いものです。どんな分野にせよ、碩学がわかりやすく語る文章はいいものですね。

著者がいかに軽く語っているかを如実にあらわす文章を、以下に引用します。

道具や持ち物がどんどんふえ、ついに動けなくなった。これこそ人類が定住の暮らしを始めた動機なのである。もっとも、私の名前は真なので、私のかかげる説は、つねに真説である。


この本を読んで、今までまったく気にかけていなかったことを知りました。というのは、日本語で「石器」と呼んでいるものに当たる英語は"stone weapons and tools"ということが多いということです。「石器」と一言でいっても、道具と武器のニュアンスが含まれているのだな、と、こういうちょっとした新鮮な発見があるのは、読んでよかったなと思えるところです。

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