2008-07-05

本3冊の感想

某所であげられている中から、気になる作品を3冊読みました(うち1冊は再読)。

邪馬台国はどこですか?』(鯨統一郎)
登場人物は4人だけなのに、ヒロイン役の登場人物が無用に貶められているような気がしてなりませんでした。才媛のはずが、無知だったり、仮説に対して謙虚ではなかったり、思い込みが激しかったり。女性キャラクターに魅力が足りないのが残念です。あと「教授」の影が薄く、登場させるまでもないのではないか、という気がしました。

話自体は歴史ミステリで、いささか設定に無理がありすぎるきらいもありますが(それに詭弁が過ぎるのではないか、とも思いました)、軽く楽しめました。

正しく生きるとはどういうことか』(池田清彦)
基本的には、「環境を有限とした修正リバタリアニズム」というような立場から、善く生きるとはどういうことか、正しく生きるとはどういうことか、という二つの問題を考察する内容でした。このような著作は著者が何を言っているかというよりはどのような考察プロセスを辿ったのかに僕は興味がありますので(つまりどのような立場にあるかによって解が異なる問題には興味がありませんし、自分なりの解は持っているつもりです)、楽しんで読みました。

それでは正しく生きるとはどういうことなのでしょう。著者の結論を簡単にまとめてしまうと、自分の規律を構成した上で適度に欲望を開放し、そのうえで他者の欲望の解放と調整をする、というようなことです。その他の問題に対しても著者は明快な実践解を提示しているので、読み込めば自分の思索を深めることにもなるとは思いますが、この手の議論になれない人が鵜呑みにしてしまうと、それはそれで問題のありそうな著作だと思いました。というのも、リバタリアニズムとは別の立場からの試論をあまり比較検討していないので、あくまでもリバタリアニズム入門として読むと良いと思うのです。

鳥類学者のファンタジア』(奥泉光)
この本は既読ですが、読んだのがずいぶん前なのでまた読みたいな、と思って読みました。
・音楽、特にジャズが好き
・突飛なファンタジー的展開についていける
・自虐ギャグが好き
・小ネタを見つけるのが好き
・猫が好き
上記が当てはまるひとにはうってつけの作品だと思います。僕は当てはまるので、再読したわけですが。

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