2008-09-06

反社会学講座

反社会学講座』(パオロ・マッツァリーノちくま文庫 )を読みました。本書はWebで公開されていますので、どなたでも無償で読むことができますが、加筆修正が加えられている上、文庫版には「補講」がついていますので、読んでみました。

Webで公開され始めた頃、僕は大学院に在籍していました。そのときから話題になっていたのですが、本書は「反社会学」と銘打っているものの、とてもまっとうで古典的な社会学的手法を使って現代社会を笑い飛ばしています。本書の批判対象は社会学というよりもむしろ学会などの学者世界や、社会学的手法をとったかにみえる政策、新聞記事などの声の大きな意見、一部の有名社会学者による何らかのコメントなどだろうと思います。

というわけで、本書はまっとうで健全な社会学の入門書です。しかも「愛と笑いとツッコミと」をモットーにしている現代の戯作者、パオロ氏が書いていますので、笑えます。もしも笑えないとしたら、批判対象になっているのでしょう。

しかし方法がまっとうだとしても、本書に書いてあることをそのまま信じてしまうには、本書の分析は一面的過ぎます。参照しているデータは質量ともに限られている上、そのデータの社会的背景などは一般論でしかありません。主な論拠は単なる統計のマジックです。まあ面白ければそれでよい本なのですけどね。

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