2008-09-01

仕事とセックスのあいだ

仕事とセックスのあいだ』(玄田有史 斎藤珠里 朝日新書)を読みました。僕はエロい話は大好きですが、残念ながらこの本はエロい話ではありません。まじめに労働経済学者とAERAの記者さんが一章ずつ書いた、労働とセックス(や出産)についての本です。

セックスについて語ることは僕は非公式には得意なのですが、公式には苦手です。本書で分析される対象に入るということもあるのですが、やっぱり後ろめたいです。なので、おおっぴらにセックスと労働のありかたについて書かれた本はそれだけで尊敬してしまいます。本書では主に玄田さんが統計的な分析を綿密に行い、斎藤さんがジャーナリストとしてやや主観的に報告をする、というかたちをとっています。

ですが各論から言ってしまうと、いろいろと疑問が出てきます。出発点がAERAの記事だからオフィス・ワーカーが対象となるのはどうしようもないとして、統計的分析にはそれほど疑問はわきません。しかし斎藤さんの章では、出産数が増えていて、社会政策として多産をサポートしているフランスのオフィス・ワーカーと日本のオフィス・ワーカーはずいぶん絶対数が違うだろうとか、フランス農村部はどうなっているのだろうとか、疑問は尽きません。福祉における北欧諸国に対する典型的な視点と同じように、単にうまくいっている国(フランス)を賛美しているだけのような気もします。

職場とセックスに関しても、セクシャルハラスメントの問題とか、長時間労働とか、ひいてはGDPの様子とか、これを読んでも個人単位でどうにかできるものは少ないでしょう。政策提言の本だったらよいのでしょうが、あくまでこれは新書ですから。職場の雰囲気やストレスや仕事のやりがいなどと個人のセックスに密接な関係があるという事実だけでも厳粛に受け止めるべきでしょう。

まあ、ワーク・ライフ・バランスについて考える一助となる本ではあります。とは言うものの仕事(報酬)は長時間でも過酷でもいいから欲しいし、楽しくセックスもしたい(人もいる)し、現在の日本はにっちもさっちもいかない状況にいるのではないか、と思います。特にオフィス・ワーカーにとっては。

ところで、別のソースからのうろ覚えでは、1970年代の会社では職場結婚が7割あった、というような記憶があるのですが、そういえば職場恋愛はしたことないな。職場に気になる異性がいると半数以上は仕事へのモティベーションがあがるらしいので、職場恋愛してみたいな(非公式発言)。

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