2008-10-06

闇の左手

闇の左手』(アーシュラ・K・ル・グィン)を今更ながら読みました。ずっと気にはなっていたのですが手に取れなくて、ようやく読んだ次第です。なんだか最近SFづいているような気もしますが、そのうち揺り戻しもくるでしょうから、とりあえず気の向くままに読書をしています。

既に名作の名が高い本に対して、あらためて何かをいい加えるのはとても難しいし、作品や既に何かをいってきた人に失礼になってしまうのではないかと危惧するのですが、言ってしまうと名作として残るのはやっぱりそれなりの理由があるのだな、という単純な感想です。現代的なSFとはずいぶん味わいは違いますが、一つの世界として見事でした。

既に散々いわれていることだけれども、両性具有の登場人物が男性にしか思えない点はやっぱり気になります。萩尾望都さんの漫画によく似ている(というか、萩尾さんが影響を受けている)けれども、萩尾さんの漫画もやっぱり両性具有者は男性っぽくなりますし、ここには何か人間の想像力を限定する何かがあるのかな、と思ってしまいます。

僕の読める本の冊数には限りがあるのに、素敵な本の冊数にはほとんど限りがないというのは、幸せでもあるし不幸でもあるな、と思います。それでも「名作」と言われないものも読んでしまうのですが。

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