2008-10-14

"文学少女"と飢え乾く幽霊

"文学少女"と飢え渇く幽霊 (ファミ通文庫)』(野村美月)を読みました。僕にとって初めてのファミ通文庫です。

以前から気になっていたシリーズなのですが、まとめて図書館に予約をしておいたら2作目が一番先に届いたので、順番を無視して本作から読み始めました。前作(死にたがりの道化)を読んでからならもっと設定を簡単に理解できたことでしょう。

僕もかつての文学少年として、本作品に出てくる古典的名作のほとんど(童話を除く)を読んでいましたので、途中からこの話はある名作をなぞっていると気がつきましたし、暗号の解読は趣味としているので、数字の羅列も(いちいち対応表をつくりながら)理解できました。だからといってこの「飢え乾く幽霊」がつまらないわけではありません。

魅力的なところは、非常にストレートなところでしょう。こんなシチュエーションあり得ないよ、と思いながら、そんなシチュエーションに憧れているものをそのまま書き出してくれたり、典型的と僕たちが見なすけれども、決して現実で見かけることはない行動と反応そのままの描写とか、まあ妄想系の喜びというか。

遠子先輩の文学蘊蓄は、僕にとってはそれほど役に立ちませんでした。テキストそのものが味覚に還元されてしまうので、僕の興味であるテキストの社会的背景を語ってはくれなかったからです。それにしても高校三年生で、こんな正統派文学的名作を今更読むのか、という感じも少しだけしましたけれど、本と人の出会いは色々ですからね。僕も未読の名作は多いですし。

でもまあ面白かったし、連続して図書館に予約してあるものが届く予定なので、このままシリーズを読み続けてしまおうかと思っています。ただし順番はごちゃごちゃになるかも知れないけれど。

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