2008-08-04

映画「キリング・フィールド」

超個人的クメール・ルージュ祭りの一環として「キリング・フィールド」を観ました。事前にいろいろな資料にあたってから観ると、それはそれで面白いものです。映画自体の評価はあくまで単独の作品ということで、面白い面白くないで判断すれば面白いです。友情物語としても、人間がどれだけ残酷になれるかという視点からも。ノンフィクションの皮をかぶったフィクションですね。

で、先日読んだ『わたしが見たポル・ポト』(馬淵直城)の指摘によれば、シャンバーグ(アメリカ人記者)とプロン(カンボジア人記者兼通訳)の間には友情などなかった、との事。また市街戦もポル・ポト派による殺戮も、プノンペン入りするクメール・ルージュの様子も事実とは異なる、とのことです。

僕がこれまでに知った書物によると、馬淵氏の指摘はおおむねあたっているようです。市街戦に関して書かれたものは今のところ知りませんし、集団農場での殺戮についても記述が見つかりません。シャンバーグとプロンの関係はわかりませんが。

ですが、より冷静に殺戮は行われていたということ、市街戦はなくともアメリカ軍による大量の絨毯爆撃や政府・ベトナム軍などとクメール・ルージュ間の森林戦はあったようです。確かに映画ではクメール・ルージュが非常に直接的な極悪人のような写され方をしていますが、クメール・ルージュ組織全体としては、映画で描かれるように野蛮で激情型なのではなく、システマティックで冷静に充分残虐だったのではないかと僕は想像します(たとえ残虐心からでなくとも、結果として残虐だった、といこと)。映画では銃を撃つシーンばかりですが、銃殺されるよりも栄養失調や病気で死んだと思われる人数のほうが圧倒的に多いのですから。

ともあれ、迫真の演技で(特にプロン役)、感動的な映画でした。そしてこれはフィクションとして鑑賞すべきでしょう。

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