2008-08-15

燃えるスカートの少女

燃えるスカートの少女』(エイミー・ベンダー)を読みました。

著者の作品を読むのははじめてですが、図書館から取り寄せていやな予感がしたのです。独り言ですが、訳者は僕がかつて「二度とこんなもの読むもんか」とひとり駄々をこねた作品を訳した管啓次郎さん。彼によるジャン=フランソワ・リオタールの訳書を読んで、読めども読めどもさっぱり内容が腑に落ちず、その責は原文にあるのか訳文にあるのか僕の頭にあるのか判断できなかったので理解することをあきらめました。

さて、本書は11篇が収められた短編集です。しかも奇想天外で超現実的で、ストーリーらしいストーリーはありません。きわめて短い短編に心身を没入できるかで勝負(なんの勝負?)がきまります。

きわめて悪い先入観を持ちながら本書を読み進めて、「悪くないかも」「そこそこよい」「結構よい」「とてもよい」に変化しました。中盤で「何だこれは?」というものもありましたが、結局ほとんど休みもせずに読みきってしまいました。

哀しい、優しい、残酷、言葉にすると陳腐ですが、ほとんどの短編で身体の変調(カフカの『変身』みたいな)とセックスが現れますが、むしろ肉体的感覚な小説ではなく精神的感覚な小説です。想像力を刺激し、不思議な世界に連れて行かれますが、不思議な世界は案外現実的な世界との接点があって、振り返って現実世界を見るような感じです。

好き嫌いは激しく分かれるかと思いますが、現代アメリカ小説に抵抗がなければ読んでも損はないと思います。

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