2008-08-10

妊娠小説

妊娠小説』(斎藤美奈子)を読みました。もともと文芸評論というものをめったに読まない上、著者と同姓同名の知人が思い出されてしまって、斎藤美奈子さんの著作を読むのははじめてです。

一読して、実に頭の切れる方だな、と思わされました。視点も斬新だし、文芸批評のフレームワークに則っているような則っていないような議論の展開といい、作品や時評にいちゃもんをつけながらも絶妙な皮肉で和らげたり、批評ものとしてではなく、読み物としても小気味よくて面白かったです。間違いなく快著ですね。槍玉に挙げられている文芸作品(=妊娠小説)を読んでいようがいなかろうが、笑えることは確かです。

一時期、優生保護法の変遷とそれにまつわる議論や、人工妊娠中絶を扱った文芸作品とかいろいろと読んでいたのですが、本書を読んで目から鱗が落ちました。なるほど、こういう切り口もあったのだ、と。

ところでこの作品、斎藤さんの「処女作」なんですよね。皮肉というか。

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