2008-08-18

L文学完全読本

L文学完全読本』(斎藤美奈子編・著)を読みました。いや~、この編者好きです。

L文学の「L」はレディ、ラブ、リブ、だそうです。おにいさんからおじさんに近づきつつある(と自分では思っている)僕は「L文学とは何ぞや」などと、まずはじめに考えてしまうのですが、それほど明確な定義はなされていません。女性作家による女性が主人公の文学、というくらいの意味ですが、それを理解するためのフレームワークが秀逸です。

とりあえず編者によるL文学の定義らしきものを引用すると、

それは少女小説を祖先とし、言語文化においてはコバルト文庫を踏襲し、物語内容においてはリブの感受性を受け継ぎ、先行するコミックやドラマやポップスなどの養分を吸収し、なんやかんやのあげく、90年代の後半に顕在化した
とのことです。

本書では、L文学に特徴的な本の装丁が語られます。『赤毛のアン』とか『小公子』とか『若草物語』とかの「少女文学」名作の系譜が語られます。L文学を理解するためにコバルト文庫やX文庫の作者の変遷やスタイルの変遷が語られます。L文学に関係する音楽や漫画やTVドラマが編年的に語られます。L文学の担い手たち26人に関するコラムが掲載されています(ちなみに僕の配偶者が好む作家が多かった)。ブックガイドも250冊と充実しています(ちなみに僕の既読の本は少なかった)。

いや、満喫させていただきました(おなかいっぱいになりました)。「女心のわからない男」として、L文学に精通するためには長く険しい道が控えていることもわかりました。そして、別に理解しなくても良いや、とあきらめかけている自分がいることもわかりました。いやはや。

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