2008-08-22

永遠の森

永遠の森 博物館惑星』(菅浩江)を読みました。

さて、独り言モードに移って、僕は「美」について語らせると長いです。そもそも美とはなんぞやとか、身近なところで言えば美しい音楽とは何を備えているのか、とか現代音楽は何をもって美しさを表現するのか、とか。どうでもよいし長いので書きませんが。

結局答えなんて出ないんです。有史以前から人間は美しさを追及しているものの、結局のところ到底何らかの解答は得られず、結果としての美しさを得ているに過ぎません(そうでないのは、せいぜいが自然科学での人間原理的な美しさくらいなものでしょうか。信仰に近いともいえますが)。

まあ独り言はさておき、美しさの殿堂で働く人たちの人間くささが本書の白眉たるところだと思います。右往左往する調停役はいるし、いやな上司も生意気なルーキーもいるし、頼りになる同僚もいる。「美」という人間を経由しなければ感知できない存在でありながら、まるで人間を超越しているかのような存在に触れる学芸員たちの、そういったところが素敵な小説たらしめているのでしょう。

ちょっと難をつければ、データベースに直接接続されている割にはものすごく伝達効率の悪い「言語」というインタフェースに頼らなければいけない登場人物たち(一部例外を除く)が不思議です。電脳空間上ではもう少しインタフェースは自由であって欲しいな、というのが僕の望みです。

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